住宅ローンの本審査に通ると、金融機関から、
「次は金消契約です」
「金銭消費貸借契約の手続きをお願いします」
と案内されることがあります。
初めて住宅ローンを利用する人にとっては、
「金消契約って何?」
「本審査に通ったのに、まだ契約があるの?」
「契約当日は何をするの?」
「何を持っていけばいい?」
と疑問に思うのではないでしょうか。
金消契約とは「金銭消費貸借契約」の略称で、住宅ローンを借りる人と金融機関との間で結ぶ重要な契約です。
本審査に通っただけでは、住宅ローンの手続きがすべて終わったわけではありません。
一般的には、本審査承認後に金消契約を行い、その後、住宅ローンの融資実行へ進みます。
私は銀行の住宅ローンセンターで住宅ローン業務に携わってきました。
この記事では、その経験も踏まえて、
- 金消契約とは何か
- 金消契約はいつ行うのか
- 契約当日の流れ
- 必要になる主な書類
- 契約時に確認したいポイント
- 金消契約後から融資実行までの注意点
について、住宅ローン初心者にも分かりやすく解説します。
住宅ローンの金消契約とは?
金消契約とは、
「金銭消費貸借契約」
の略称です。
簡単にいうと、金融機関からお金を借り、借りた人が契約内容に従って返済していくことなどを取り決める契約です。
住宅ローンの場合、数千万円という大きな金額を何十年にもわたって返済することも珍しくありません。
そのため、金消契約では、
- 借入金額
- 借入期間
- 金利
- 金利タイプ
- 返済方法
- 返済日
- 融資実行に関する事項
- その他の契約条件
などを確認します。
住宅ローンを利用する人にとって、非常に重要な手続きの一つです。
「本審査承認」と「金消契約」は違う
住宅ローン初心者が混同しやすいのが、
「本審査に通ること」と「住宅ローンを契約すること」
です。
この2つは同じではありません。
一般的な住宅ローンの流れを簡単にすると、
住宅ローン申込
↓
事前審査
↓
本審査
↓
本審査承認
↓
金消契約
↓
融資実行
↓
残代金決済・物件引き渡し
となります。
実際の順序や手続き方法は、金融機関や取引内容によって異なる場合があります。
本審査承認は、金融機関が審査を行い、一定の条件のもとで住宅ローンを利用できると判断した段階です。
一方、金消契約は、実際に住宅ローンを借りるための契約を締結する段階です。
したがって、
「本審査に通った=住宅ローンの手続きがすべて終わった」
というわけではありません。
金消契約はいつ行う?
一般的には、住宅ローンの本審査が承認された後、融資実行前に行います。
イメージとしては、
本審査承認
↓
金消契約
↓
融資実行
↓
売主への残代金支払い
↓
物件引き渡し
という流れです。
ただし、金消契約をいつまでに行う必要があるかは、金融機関や住宅購入のスケジュールによって異なります。
住宅購入では、
「○月○日に決済・引き渡し」
と日程が決まっているケースも多いため、その日から逆算して金消契約などの住宅ローン手続きを進めます。
金融機関から案内された期限を確認し、余裕を持って手続きを進めましょう。
金消契約はどこで行う?
以前は、金融機関の店舗や住宅ローンセンターなどで対面して契約する方法が一般的でした。
現在は金融機関によって、
- 銀行店舗
- 住宅ローンセンター
- 電子契約
- オンラインを利用した手続き
など、契約方法が異なります。
ネット銀行などでは、店舗へ行かずに住宅ローン契約を進められる場合もあります。
したがって、
「金消契約=必ず銀行へ行って紙の契約書に実印を押す」
とは限りません。
利用する金融機関の案内を確認しましょう。
金消契約当日の主な流れ
対面で金消契約を行うケースをイメージして、一般的な流れを確認してみましょう。
①本人確認を行う
まず、住宅ローンを契約する本人であることを確認します。
金融機関から指定された本人確認書類などを使用します。
ペアローンや連帯債務などの場合には、契約関係者についても必要な手続きを行う場合があります。
②住宅ローンの契約内容を確認する
続いて、住宅ローンの契約内容を確認します。
特に確認したいのは、
- 借入金額
- 金利
- 金利タイプ
- 借入期間
- 返済方法
- 毎月の返済日
- ボーナス返済の有無
- 融資実行予定日
などです。
住宅ローンは長期間返済していく契約です。
「事前に説明を受けたから大丈夫」
と考えず、最終的な契約内容を自分でも確認しましょう。
③金銭消費貸借契約を締結する
内容を確認したら、金銭消費貸借契約を締結します。
金融機関によって、
- 紙の契約書
- 電子契約
など契約方法は異なります。
契約内容について分からない項目があれば、そのまま進めるのではなく、金融機関の担当者に確認することが大切です。
④抵当権設定などに関する手続きを確認する
住宅ローンでは一般的に、購入する土地や建物などに金融機関の抵当権を設定します。
抵当権とは、住宅ローンの返済ができなくなった場合などに備えて、金融機関が不動産を担保として確保するための権利です。
抵当権設定登記などは司法書士が手続きを行うケースが一般的です。
金消契約前後に、登記に必要な書類について案内を受けることもあります。
⑤融資実行日の手続きを確認する
金消契約をしたら、その後の融資実行についても確認します。
たとえば、
- 融資実行日
- 融資金の入金・送金方法
- 売主への残代金支払い
- 自己資金
- 諸費用
- 登記手続き
- 決済・引き渡し
などです。
住宅ローンは金消契約を締結して終わりではありません。
予定どおり融資が実行され、住宅の決済・引き渡しが完了するところまで手続きを進めます。
金消契約に必要な書類は?
金消契約に必要なものは、金融機関や契約方法などによって異なります。
そのため、必ず利用する金融機関から案内された必要書類を確認してください。
対面契約などで準備を求められる可能性があるものとしては、
- 本人確認書類
- 実印
- 印鑑証明書
- 住民票
- 返済用口座に関するもの
- 収入印紙(紙の契約で必要となる場合)
- その他金融機関から指定された書類
などがあります。
ただし、これはあくまで一例です。
電子契約では、紙の契約とは必要なものや手続き方法が異なる場合があります。
また、本審査ですでに提出した書類についても、改めて提出を求められることがあります。
「前に提出したから今回はいらないだろう」と自己判断せず、金融機関からの案内を確認しましょう。
金消契約で確認したい7つのポイント
金消契約では、書類に署名・押印することだけを目的にしないようにしましょう。
少なくとも次の7項目は確認しておきたいところです。
1.借入金額
最終的にいくら借りる契約になっているのか確認します。
当初予定していた金額から変更されていないかも確認しましょう。
2.金利タイプ
自分が選んだ、
- 変動金利
- 固定期間選択型
- 全期間固定金利
などの金利タイプを確認します。
3.適用金利
特に注意したいポイントです。
住宅ローンでは商品によって、金利が決まるタイミングが異なる場合があります。
申込時に確認した金利と、実際に適用される金利が必ず同じとは限りません。
どの時点の金利が適用されるのかも確認しましょう。
4.返済期間
35年、40年など、予定していた返済期間になっているか確認します。
5.返済方法
元利均等返済・元金均等返済など、契約する返済方法を確認します。
ボーナス返済を利用する場合には、その内容も確認しましょう。
6.毎月の返済日・初回返済日
毎月何日に住宅ローンが引き落とされるのか確認します。
また、融資実行後の初回返済日についても確認しておくと安心です。
7.繰上返済などの条件
住宅ローンを長期間利用していると、将来、繰上返済を検討することもあるでしょう。
- 繰上返済の方法
- 手数料
- 最低返済金額
- インターネットで手続きできるか
なども確認しておくとよいでしょう。
金消契約にはどのくらい時間がかかる?
契約方法、金融機関、契約内容などによって異なります。
対面契約では、本人確認、契約内容の確認、書類への署名・押印など複数の手続きがあります。
銀行担当者でも金消契約は煩雑で最も労力がかかり、神経を使う事務手続きです。
そのため、時間に余裕を持って予定を組んでおいた方がいいでしょう。
ペアローンなど契約関係者が複数いる場合には、手続きが増えることもあります。
一方、電子契約の場合は対面契約とは手続き方法が異なります。
具体的な所要時間は金融機関へ確認してください。
金消契約と融資実行は何が違う?
ここは初心者が混同しやすいところです。
金消契約
→ 金融機関と住宅ローンの契約を結ぶ
融資実行
→ 金融機関が実際に住宅ローンの資金を貸し出す
という違いがあります。
つまり、
金消契約=住宅ローンのお金を受け取った
というわけではありません。
金消契約を締結した後、金融機関の所定の手続きを経て融資実行となります。
住宅購入では融資実行に合わせて売主への残代金支払いなどを行い、決済・物件引き渡しへ進むケースがあります。
金消契約後なら何をしても大丈夫?
ここも注意したいところです。
金消契約を締結しても、まだ融資実行前です。
そのため、
- 新たに自動車ローンを組む
- カードローンを利用する
- キャッシングを増やす
- 金融機関へ相談せず転職・退職する
- ローンやクレジットカードの支払いを延滞する
- 住宅購入に使う予定の自己資金を大きく減らす
といった行動には注意しましょう。
金消契約後に審査・契約時の状況から大きな変更が生じる場合には、金融機関への確認が必要になる可能性があります。
「金消契約が終わった=もう何をしても大丈夫」ではありません。
融資実行までは慎重に行動しましょう。
金消契約後に住宅ローンをキャンセルできる?
金消契約は正式な契約です。
そのため、
「契約したけれど、やっぱり住宅ローンをやめたい」
と簡単に考えるべきではありません。
融資実行前であっても、契約後の取り扱いは金融機関や契約内容などによって異なります。
また、住宅購入そのものを取りやめる場合には、住宅ローンだけではなく、不動産売買契約についても確認が必要になります。
事情が変わった場合は、自己判断せず、できるだけ早く金融機関や不動産会社などへ相談しましょう。
電子契約なら収入印紙は必要ない?
住宅ローンでも電子契約を利用できる金融機関があります。
印紙税は課税文書に対して課される税金なので、一定の電子契約では紙の契約書のような収入印紙が不要になる場合があります。
一方で、金融機関によっては電子契約に関する別の手数料などが設定されている場合があります。
したがって、
「電子契約なら必ず費用が安い」
とは限りません。
契約方法と費用を金融機関に確認しましょう。
元銀行住宅ローンセンター担当として伝えたいこと
住宅ローンの本審査に通ると、多くの人がほっとすると思います。
しかし、本審査承認は住宅ローン手続きのゴールではありません。
その後に金消契約があり、さらに融資実行、住宅購入の決済・引き渡しへと続きます。
金消契約で特に大切なのは、
「銀行から言われたところに署名・押印すればいい」
と考えないことです。
住宅ローンは、これから何十年も返済していく可能性がある契約です。
少なくとも、
いくら借りるのか
何%の金利が適用されるのか
どのような金利タイプなのか
何年間返済するのか
毎月どのように返済するのか
は、自分自身で理解したうえで契約したいところです。
分からない項目があれば、遠慮せず金融機関へ確認しましょう。
数千万円という大きなお金を借りる契約なのですから、分からないことを質問するのは当然です。
納得したうえで金消契約を締結することが大切です。
よくある質問
Q.金消契約とは何ですか?
「金銭消費貸借契約」の略称です。
住宅ローンでは、金融機関から住宅購入資金などを借り、契約内容に従って返済していくことなどを取り決めます。
Q.本審査に通ったら金消契約をするのですか?
一般的には、本審査承認後、融資実行前に金消契約などの手続きを行います。
具体的な手続きの流れは金融機関などによって異なります。
Q.金消契約に実印は必要ですか?
金融機関や契約方法によって異なります。
紙の契約では実印や印鑑証明書などを求められる場合がありますが、電子契約では手続きが異なることがあります。
必ず金融機関から案内されたものを確認しましょう。
Q.金消契約は夫婦そろって行く必要がありますか?
契約形態によって異なります。
ペアローンや連帯債務、担保提供など、配偶者が契約関係者になる場合には、配偶者にも手続きが必要になることがあります。
Q.金消契約後に車のローンを組んでも大丈夫ですか?
融資実行前に新しい借入を増やすことは慎重に考えましょう。
必要がある場合は、住宅ローンを利用する金融機関へ事前に確認することをおすすめします。
まとめ|金消契約は住宅ローンの重要な契約
金消契約とは、
「金銭消費貸借契約」
の略称です。
住宅ローンでは一般的に、本審査承認後から融資実行までの間に行われる重要な手続きです。
住宅ローンの流れを整理すると、
事前審査
↓
本審査
↓
本審査承認
↓
金消契約
↓
融資実行
↓
決済・物件引き渡し
となります。
金消契約では、
- 借入金額
- 金利
- 金利タイプ
- 返済期間
- 返済方法
- 返済日
- 融資実行に関する事項
など、これから長期間利用する住宅ローンの重要な内容を確認します。
必要書類については金融機関や契約方法によって異なるため、必ず事前に案内を確認してください。
そして、金消契約が終わっても融資実行までは住宅ローンの手続きが続きます。
金消契約をゴールと考えず、融資実行・決済・物件引き渡しまで確実に手続きを進めることが大切です。


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