「育休中でも住宅ローンは組める?」
「育児休業給付金しか受け取っていないけど、住宅ローン審査に通る?」
「復職してから申し込んだ方がいい?」
育休中に住宅購入を考えている方の中には、このような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、育休中でも住宅ローンを組める可能性はあります。
ただし、金融機関によって育休中の審査方法や必要書類、融資実行までに復職が必要かどうかなどの取扱いは異なります。
私は銀行の住宅ローンセンターで住宅ローン業務を担当してきました。
この記事では、その経験も踏まえながら、
- 育休中でも住宅ローンを組めるのか
- 育休中の年収はどのように見られるのか
- 復職予定は住宅ローン審査に影響するのか
- ペアローンや収入合算を利用するときの注意点
- 育休中に住宅ローンを申し込む前に確認したいこと
について、住宅ローン初心者の方にも分かりやすく解説します。
育休中でも住宅ローンは組める?
育休中だからといって、必ず住宅ローンを組めないわけではありません。
金融機関によっては、育休中でも住宅ローンの申込みを受け付けています。
ただし、通常勤務している人とまったく同じ条件で審査されるとは限りません。
住宅ローンは一般的に長期間返済していくため、金融機関は現在の収入だけではなく、
- 育休前の収入
- 勤務先
- 勤続年数
- 復職予定
- 復職後の働き方
- 復職後の収入見込み
- 住宅ローンの借入希望額
- 他の借入状況
などを確認しながら審査します。
そのため、育休中の住宅ローン審査では、「育休中だから収入が少ない」という一点だけではなく、復職後も継続して返済できるかが重要になります。
育休中の住宅ローン審査で重要になるポイント
育休中に住宅ローンを申し込む場合、特に確認しておきたいポイントがあります。
1.復職する予定があるか
まず重要なのが、現在の勤務先へ復職する予定があるかどうかです。
住宅ローンは数十年間返済するケースも珍しくありません。
金融機関としては、育休期間中の一時的な収入だけではなく、復職後に安定した収入を得られるかを確認する必要があります。
そのため、金融機関によっては復職予定を確認する書類などの提出を求められることがあります。
2.育休前の年収
育休中は、通常勤務していたときより収入が少なくなっていることがあります。
そこで住宅ローン審査では、育休前の年収などを確認して審査する金融機関もあります。
ただし、
「育休前の年収をそのまま審査年収として使ってもらえる」
とは限りません。
どの収入をどのように評価するかは金融機関によって異なります。
住宅ローンを比較するときは金利だけでなく、育休中の審査方法についても確認しておきましょう。
3.復職後の働き方
復職する予定があっても、育休前と復職後で働き方が変わることがあります。
たとえば、
- フルタイムから時短勤務になる
- 残業が減る
- 勤務日数が変わる
- 給与体系が変わる
といったケースです。
時短勤務になれば、育休前より収入が少なくなることもあります。
そのため、住宅ローンを考える際には、育休前の年収だけを基準にするのではなく、復職後に実際に受け取れる収入を想定して返済計画を立てることが大切です。
育児休業給付金だけで住宅ローン審査を受けられる?
育休中には、一定の条件を満たすことで育児休業給付を受けている方もいるでしょう。
ただし、育児休業給付を住宅ローン審査上の年収としてどのように扱うかは、金融機関によって異なります。
「毎月受け取っているから給与と同じように審査してもらえる」とは限りません。
住宅ローンを申し込む前に、
育休中の収入をどのように審査するのか
を金融機関に確認しておくことをおすすめします。
復職してから住宅ローンを申し込んだ方がいい?
育休中でも住宅ローンを申し込める金融機関はあります。
一方で、状況によっては復職後に申し込む方法も選択肢になります。
復職後であれば、
- 実際の給与
- 時短勤務後の収入
- 復職後の勤務状況
などが明確になります。
住宅購入を急いでいない場合は、復職して収入状況が安定してから住宅ローンを申し込むことも検討できます。
ただし、
- 購入したい物件が決まっている
- 引き渡し時期が決まっている
- 子どもの入園・入学に合わせて引っ越したい
など、住宅購入にはタイミングもあります。
そのため、必ず復職まで待つべきというわけではありません。
育休中に購入したい場合は、早い段階で金融機関に相談し、利用できる住宅ローンを確認しておくとよいでしょう。
育休中のペアローンは利用できる?
夫婦で住宅を購入するときには、ペアローンを検討するケースもあります。
ペアローンは夫婦それぞれが住宅ローンを契約する方法です。
そのため、一方が育休中の場合、その人についても住宅ローン審査を受ける必要があります。
育休中でもペアローンを利用できるか、どの収入を審査に使用するかなどは金融機関によって異なります。
また、ペアローンでは夫婦それぞれが住宅ローンを負担することになります。
復職後に時短勤務を予定している場合などは、育休前の収入だけを基準に借入額を決めないようにしましょう。
収入合算を利用するときも注意
夫婦の収入を合わせて住宅ローンを申し込む「収入合算」を利用する方法もあります。
ただし、一方が育休中の場合、収入合算者の年収をどのように評価するかは金融機関によって異なります。
育休前の年収を確認する金融機関もあれば、復職後の収入見込みなどを確認する場合もあります。
「夫婦の育休前の年収を足せば、このくらい借りられるだろう」
と自己判断せず、事前に金融機関へ確認することが重要です。
育休中の住宅ローン審査で求められる可能性がある書類
通常の住宅ローン申込みでは、本人確認書類や収入を確認する書類などが必要になります。
育休中の場合は、それらに加えて、
- 育休期間を確認できる書類
- 復職予定日を確認できる書類
- 育休前の収入を確認できる書類
- 復職後の給与見込みを確認できる書類
などの提出を求められることがあります。
必要書類は金融機関によって異なるため、申し込む前に確認しておきましょう。
育休中だからといって借入額を増やしすぎない
住宅ローン審査に通ることと、無理なく返済できることは別の話です。
たとえば、育休前に夫婦それぞれがフルタイムで働いていた場合、2人分の年収を基準にすると大きな住宅ローンを組める可能性があります。
しかし、出産後には、
- 時短勤務
- 残業時間の減少
- 保育料
- 子どもの生活費
- 習い事
- 教育費
など、家計の状況が変わる可能性があります。
さらに、将来2人目・3人目の子どもを考えている家庭では、再び産休・育休を取得する可能性もあります。
そのため、育休前の最大年収だけを前提に住宅ローンの借入額を決めるのはおすすめできません。
復職後の家計を想定して、余裕のある返済額を考えましょう。
「借りられる金額」と「返せる金額」は違う
育休中の住宅ローンでも特に意識してほしいのが、
借りられる金額と無理なく返せる金額は違う
ということです。
金融機関から希望額の住宅ローンを借りられたとしても、その金額がその家庭にとって無理なく返済できる金額とは限りません。
子どもが小さい時期はそれほど教育費がかからなくても、中学校・高校・大学と進むにつれて教育費が増えていく可能性があります。
住宅ローンは20年、30年、35年など長期間返済するケースが多いため、現在だけではなく将来の家計も考えて借入額を決めることが重要です。
育休中に住宅ローンを申し込む前の6つのチェックポイント
1.復職予定日を確認する
いつ復職する予定なのか確認しておきましょう。
住宅ローンの融資実行時期との関係も重要です。
2.復職後の働き方を確認する
フルタイムなのか、時短勤務なのかなど、復職後の働き方を整理します。
3.復職後の収入を想定する
育休前の年収だけではなく、復職後に実際に得られる収入を基準に家計を考えましょう。
4.現在の借入を確認する
自動車ローン、カードローン、リボ払い、奨学金などがあれば、住宅ローンと合わせた返済負担を確認します。
5.住宅購入後の支出を考える
住宅ローンだけではなく、固定資産税、管理費・修繕積立金、住宅の修繕費、教育費なども考慮しましょう。
6.育休中の取扱いを金融機関に確認する
育休中の審査基準は金融機関によって異なります。
物件を決めてから慌てるのではなく、早めに相談しておくことをおすすめします。
育休中に住宅ローンを申し込むなら複数の金融機関を比較する
育休中の住宅ローン審査では、金融機関によって取扱いが異なることがあります。
そのため、一つの金融機関だけを見て、
「育休中だから住宅ローンは難しい」
と判断する必要はありません。
確認したいのは、
- 育休中でも申込みできるか
- どの年収を審査に使うのか
- 復職が融資の条件になるか
- どのような書類が必要か
- ペアローンや収入合算を利用できるか
といった点です。
金利や手数料だけではなく、自分たちの働き方に合った審査をしてもらえるかという視点でも比較しましょう。
元銀行住宅ローンセンター担当者として伝えたいこと
育休中に住宅購入を考えると、
「今は収入が少ないから住宅ローンは無理なのでは?」
と心配する方もいると思います。
しかし、育休は一時的な休業であり、復職を予定している方も多いでしょう。
金融機関によっては、そのような事情も踏まえて住宅ローン審査を行います。
一方で、住宅ローン審査に通ることだけを目的に、育休前の収入を基準として借入額を大きくしすぎるのは注意が必要です。
住宅購入後には、住宅ローンに加えて子育てに関する支出も増えていきます。
育休中に住宅ローンを考えるのであれば、
「いくら借りられるか」よりも「復職後の生活でいくらなら無理なく返せるか」
を大切にしてほしいと思います。
よくある質問
Q.育休中でも住宅ローン審査を受けられますか?
育休中でも住宅ローンを申し込める金融機関はあります。
ただし、金融機関によって審査方法や条件が異なるため、事前に確認しましょう。
Q.育休中は前年の年収で住宅ローン審査をしてもらえますか?
育休前の年収などを確認して審査する金融機関もありますが、取扱いは金融機関によって異なります。
前年の年収がそのまま審査年収になるとは限りません。
Q.時短勤務で復職する予定でも住宅ローンは組めますか?
時短勤務だから住宅ローンを組めないと一概にはいえません。
ただし、復職後の収入が育休前より少なくなる可能性があるため、審査上の収入の取扱いを金融機関に確認しましょう。
Q.夫婦の一方が育休中でもペアローンを利用できますか?
利用できる可能性はあります。
ただし、育休中の人も住宅ローン審査を受けるため、金融機関によっては復職予定や復職後の収入などの確認が必要になります。
Q.育休中なら復職するまで住宅購入を待った方がいいですか?
必ず待つ必要があるとは限りません。
育休中でも利用できる住宅ローンがあります。
一方で、住宅購入を急いでいなければ、復職後の収入を確認してから借入額を決める方法もあります。
まとめ|育休中でも住宅ローンを組める可能性はある
育休中だからといって、住宅ローンを組めないとは限りません。
金融機関によっては、
- 育休前の収入
- 復職予定
- 復職後の働き方
- 復職後の収入見込み
などを確認しながら住宅ローン審査を行います。
ただし、育休中の審査方法や必要書類、復職に関する条件などは金融機関によって異なります。
そのため、住宅購入を考え始めた段階で金融機関に確認しておくことが大切です。
そして、住宅ローンを組むうえで最も重要なのは、審査で借りられる最大額を借りることではありません。
育休後の収入や子どもの教育費、将来の働き方まで考えながら、無理なく返済を続けられる住宅ローンを組むことが大切です。


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