【元銀行住宅ローンセンター担当が解説】奨学金の返済は住宅ローン審査に影響する?審査前に確認したいポイント

住宅ローン審査

「奨学金を返済中でも住宅ローンは組める?」

「毎月奨学金を返していると、住宅ローンの借入可能額は少なくなる?」

「住宅ローンを申し込む前に奨学金を完済した方がいい?」

住宅購入を考え始めたとき、このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、奨学金を返済しているからといって、それだけで住宅ローンを組めなくなるわけではありません。

ただし、住宅ローン審査では現在の借入や返済状況なども確認されるため、奨学金の返済状況によっては審査や借入可能額に影響する可能性があります。

私は銀行の住宅ローンセンターで住宅ローン業務を担当してきました。

この記事では、その経験も踏まえながら、

  • 奨学金の返済は住宅ローン審査に影響するのか
  • 奨学金返済中でも住宅ローンを組めるのか
  • 奨学金は住宅ローン審査で申告する必要があるのか
  • 延滞している場合はどうなるのか
  • 住宅ローン申込み前に完済した方がいいのか
  • 審査前に確認しておきたいポイント

について、住宅ローン初心者の方にも分かりやすく解説します。


奨学金返済中でも住宅ローンは組める?

奨学金を返済しているからといって、住宅ローンを組めないわけではありません。

住宅ローン審査では、奨学金を利用したことだけを見て審査結果が決まるわけではなく、

  • 年収
  • 勤務先
  • 勤続年数
  • 年齢
  • 住宅ローンの借入希望額
  • 他の借入状況
  • 毎月の返済額
  • 信用情報
  • 購入する物件

など、さまざまな要素から総合的に判断されます。

そのため、奨学金を返済中でも、収入に対して住宅ローンとその他の返済に無理がなければ、住宅ローンを利用できる可能性は十分あります。

大切なのは、「奨学金を借りたこと」ではなく、現在の返済状況を含めて無理のない返済計画になっているかという点です。


奨学金の返済が住宅ローン審査に影響する可能性がある理由

住宅ローン審査で重要になる項目の一つが、返済負担率です。

返済負担率とは、年収に対して年間のローン返済額がどの程度を占めているかを見るための指標です。

住宅ローンの返済だけを見るのではなく、自動車ローンやカードローンなど、他の借入の返済も考慮して審査される場合があります。

奨学金についても、金融機関の審査基準や申込内容などによって、返済負担を判断する際に考慮される可能性があります。

そのため、

「奨学金だから住宅ローン審査にはまったく関係ない」

と決めつけるのは避けた方がいいでしょう。


奨学金の返済があると借入可能額が少なくなることもある

奨学金の返済が住宅ローン審査上の返済負担として考慮されれば、住宅ローンの借入可能額に影響する可能性があります。

たとえば、毎月1万5,000円の奨学金を返済しているとします。

年間では、

1万5,000円×12か月=18万円

の返済になります。

住宅ローン審査では住宅ローン以外の返済も含めて返済能力を確認するため、この18万円が返済負担として考慮されれば、その分だけ住宅ローンに充てられる返済余力が小さくなることがあります。

特に、

  • 住宅ローンを年収に対して多く借りようとしている
  • 自動車ローンも残っている
  • カードローンを利用している
  • リボ払いの残高がある

といった場合は注意が必要です。

奨学金だけでは大きな問題にならなくても、複数の返済を合計すると返済負担が大きくなることがあるからです。


奨学金は住宅ローン審査で申告する必要がある?

住宅ローンの申込書では、現在の借入状況などについて記入を求められることがあります。

どこまで申告する必要があるかは金融機関や申込書の内容によって異なります。

そのため、

「奨学金なら借入に書かなくてもいいだろう」

と自分で判断するのではなく、申込書の記載内容に従い、不明な場合は金融機関の担当者に確認することをおすすめします。

住宅ローン審査では、申告内容の正確性も重要です。

奨学金に限らず、現在返済しているものについて聞かれた場合は、正確に申告しましょう。


奨学金の延滞がある場合は注意

奨学金について特に注意したいのが、返済の延滞です。

奨学金の返済が遅れたことがあるからといって、必ず住宅ローン審査に落ちるとは限りません。

一方で、一定の条件に該当する延滞などが信用情報機関に登録されている場合、住宅ローン審査に影響する可能性があります。

住宅ローン審査では信用情報が確認されるためです。

そのため、

「奨学金だから多少返済が遅れても住宅ローンには関係ない」

と考えるのは避けましょう。

現在奨学金を返済している場合は、毎月の返済期日を守ることが大切です。


過去に奨学金を借りていたこと自体を心配しすぎる必要はない

奨学金を利用した経験があるだけで、

「住宅ローン審査で不利になるのでは?」

と心配する方もいるかもしれません。

しかし、奨学金を利用したという事実だけで住宅ローン審査に通らないと考える必要はありません。

すでに完済しており、返済上の問題もなければ、現在奨学金を返済している人とは状況が異なります。

住宅ローンを検討するときは、過去に奨学金を利用したことだけを気にするのではなく、現在の借入状況や返済能力を確認することが重要です。


住宅ローン審査前に奨学金を完済した方がいい?

住宅ローンを申し込む前に、

「貯金を使って奨学金を全部返した方がいいのでは?」

と考える方もいるでしょう。

確かに、奨学金を完済すれば毎月の返済がなくなるため、返済負担を減らせます。

その結果、住宅ローン審査上プラスに働く可能性もあります。

ただし、住宅ローン審査のためだけに手元資金を大きく減らしてまで完済する必要があるとは限りません。

住宅を購入するときには、

  • 頭金
  • 住宅ローンの諸費用
  • 引っ越し費用
  • 家具・家電の購入費用
  • 固定資産税
  • 修繕費
  • 予想外の出費

など、さまざまなお金が必要になります。

奨学金を一括返済した結果、預貯金がほとんど残らなくなってしまっては、住宅購入後の生活に余裕がなくなる可能性があります。

完済するかどうかは、奨学金の残高だけでなく、住宅購入後に残せる預貯金も考えて判断しましょう。


奨学金以外の借入も合わせて確認する

住宅ローンを申し込むときは、奨学金だけを確認すればいいわけではありません。

たとえば、

  • 自動車ローン
  • カードローン
  • クレジットカードのリボ払い
  • 分割払い

などがあれば、それらも一緒に整理しておきましょう。

一つひとつの返済額は小さくても、合計すると毎月かなりの金額を返済していることがあります。

住宅ローンは長期間返済していくものです。

審査に通るかどうかだけではなく、住宅購入後も無理なく返済できるかという視点で確認することが重要です。


奨学金返済中に住宅ローンを申し込む前の5つのチェックポイント

住宅ローンを申し込む前に、次の5つを確認しておきましょう。

1.奨学金の残高を確認する

まず、現在いくら残っているのかを把握しましょう。

残高だけでなく、完済予定時期も確認しておくと、将来の家計を考えやすくなります。

2.毎月の返済額を確認する

奨学金を毎月いくら返しているのか確認します。

住宅ローンを組んだ場合の返済額と合計して、家計に無理がないか考えましょう。

3.他の借入も確認する

自動車ローンやカードローン、リボ払いなどがあれば、すべて整理しておきます。

4.延滞しない

住宅ローンを検討している期間はもちろん、それ以前から奨学金をきちんと返済しておくことが重要です。

5.申込書には正確に記入する

奨学金などについて申告を求められた場合は、正確に記入しましょう。

判断に迷ったら、住宅ローンを申し込む金融機関に確認するのが確実です。


住宅ローン審査で大切なのは奨学金だけではない

住宅ローン審査を考えると、

「奨学金があるから審査に落ちるのでは?」

と一つの項目だけを気にしてしまうことがあります。

しかし、実際の住宅ローン審査はもっと総合的です。

奨学金を返済していても、

  • 安定した収入がある
  • 住宅ローンの借入額に無理がない
  • 他の借入が少ない
  • 支払いの延滞がない
  • 返済負担が大きすぎない

など、全体として返済に無理がないことが重要です。

逆に、奨学金がなくても住宅ローンの借入希望額が大きすぎたり、他のローンを多く利用していたりすれば、審査が厳しくなる可能性があります。

奨学金の有無だけで住宅ローン審査を考えないことがポイントです。


元銀行住宅ローンセンター担当者として伝えたいこと

奨学金を返済していると、

「借金があるから住宅ローンは無理なのでは?」

と不安になるかもしれません。

しかし、奨学金を返済中だからといって、それだけで住宅購入を諦める必要はありません。

まず確認してほしいのは、

  • 奨学金の残高
  • 毎月の返済額
  • 完済予定時期
  • 他の借入
  • 住宅ローンを組んだ後の毎月の返済額

です。

そして重要なのは、住宅ローン審査に通るギリギリの金額まで借りることではありません。

住宅購入後には、教育費や車の購入、住宅の修繕など、さまざまな支出が発生します。

奨学金を返済しながら住宅ローンを組むのであれば、両方を返済しても家計に余裕を残せる金額を借りることを意識しましょう。


よくある質問

Q.奨学金を返済中だと住宅ローン審査に落ちますか?

奨学金を返済しているという理由だけで、必ず住宅ローン審査に落ちるわけではありません。

年収や住宅ローンの借入希望額、他の借入、返済状況などを含めて総合的に判断されます。

Q.奨学金が残っていると住宅ローンの借入可能額は減りますか?

金融機関の審査で奨学金の返済が返済負担として考慮される場合、借入可能額に影響する可能性があります。

Q.住宅ローンを申し込む前に奨学金を一括返済した方がいいですか?

一括返済によって返済負担を減らせるメリットはあります。

一方で、住宅購入後の預貯金が不足してしまうのであれば慎重に判断する必要があります。

Q.奨学金を延滞したことがあると住宅ローンは組めませんか?

過去に返済が遅れたことがあるというだけで、住宅ローンを組めないとは限りません。

ただし、延滞などの情報が信用情報に登録されている場合には、住宅ローン審査に影響する可能性があります。

Q.完済した奨学金も住宅ローン審査に影響しますか?

すでに完済している場合は、現在返済中の場合とは状況が異なります。

ただし、過去の返済状況などによっては信用情報との関係が生じるケースもあるため、心配な場合は自分の信用情報を確認する方法もあります。


まとめ|奨学金返済中でも住宅ローンは検討できる

奨学金を返済しているからといって、それだけで住宅ローンを組めなくなるわけではありません。

ただし、住宅ローン審査では現在の返済状況なども含めて返済能力を確認するため、奨学金の返済が審査や借入可能額に影響する可能性はあります。

住宅ローンを申し込む前には、

  • 奨学金の残高を確認する
  • 毎月の返済額を確認する
  • 完済予定時期を確認する
  • 他の借入も整理する
  • 延滞しない
  • 求められた内容を正確に申告する

ことが大切です。

そして、住宅ローンで最も重要なのは「審査に通る最大額」を借りることではありません。

奨学金の返済や将来の生活費、教育費なども考慮しながら、住宅購入後も無理なく返済を続けられる住宅ローンを組むことが大切です。

プロフィール
この記事を書いた人

元銀行住宅ローンセンター担当。2児の父。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー。
銀行の住宅ローンセンターにて勤務し、
新規審査、借換相談、返済計画の見直しなど、
数多くの住宅ローン相談に携わってきました。

現場で強く感じたのは、
「知識があれば防げたはずの後悔」が非常に多いということです。

住宅ローンは人生最大の借入。
しかし、多くの方が十分に理解しないまま契約してしまい、
その後に不安を抱えるケースを何度も見てきました。

このサイトでは、
銀行実務での経験をもとに、
住宅ローンで後悔しないための考え方や判断基準を、
できるだけわかりやすくお伝えしています。

焦らず、納得して選ぶこと。
それが将来の安心につながると考えています。

現在は情報発信やセミナーを通じて、
住宅ローン選びをサポートしています。

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