住宅ローン金利の上昇が気になっている人も多いのではないでしょうか。
「変動金利のままで大丈夫?」
「固定金利に変更した方がいい?」
「今のうちに繰上返済した方がいい?」
「住宅ローンを借り換えるべき?」
など、不安を感じている人もいるでしょう。
住宅ローンは借入金額が大きく、返済期間も長いため、わずかな金利上昇でも家計に影響する可能性があります。
一方で、金利が上がっているからといって、慌てて固定金利への変更や繰上返済をすることが正解とは限りません。
大切なのは、まず自分の住宅ローンの状況を確認し、金利がさらに上昇しても返済を続けられるように準備することです。
私は銀行の住宅ローンセンターで住宅ローン業務に携わってきました。
この記事では、その経験も踏まえて、住宅ローン金利が上昇している今だからこそ確認したい、
- 現在の適用金利を確認する
- 金利上昇時の返済額を計算する
- 家計に余裕を作る
- 繰上返済を検討する
- 固定金利への変更を検討する
- 住宅ローンの借り換えを比較する
- 手元資金を確保する
という7つの対策を分かりやすく解説します。
住宅ローン金利は上昇局面にある
長く続いた超低金利環境から状況は変化しています。
住宅ローンの変動金利は、金融機関の短期プライムレートなどを基準に決められることが多く、その背景には日銀の金融政策などがあります。
一方、固定金利は長期金利の影響を受けやすいという特徴があります。
そのため、
「変動金利だけが上がっている」
という単純な状況ではありません。
これから住宅ローンを借りる人だけでなく、すでに住宅ローンを返済している人にとっても、金利上昇は無視できない問題になっています。
ただし、ここで重要なのは、
「金利が上がった=すぐ住宅ローンを変更する」
ではないということです。
まず自分の住宅ローンを確認するところから始めましょう。
金利上昇している今できること7選
①まず自分の住宅ローン金利を確認する
最初に確認したいのが、
「自分は今、何%で住宅ローンを借りているのか」
です。
意外と、
「変動金利なのは知っているけれど、今の適用金利は分からない」
という人もいるのではないでしょうか。
確認したいのは、
- 現在の住宅ローン残高
- 適用金利
- 金利タイプ
- 残りの返済期間
- 毎月返済額
- 金利の見直し時期
- 返済額の見直しルール
などです。
金融機関のインターネットバンキングや住宅ローンの返済予定表などで確認できる場合があります。
まずは現在地を把握しましょう。
②金利が上がった場合の返済額をシミュレーションする
次にやっておきたいのが、
金利上昇後の返済額を確認すること
です。
現在の金利だけを見て、
「まだ返済できているから大丈夫」
と考えるのではなく、
金利がさらに0.5%上がったら?
1%上がったら?
というケースも考えてみましょう。
たとえば、
- 住宅ローン残高
- 残りの返済期間
- 現在の金利
を使って、金利上昇時の返済額をシミュレーションします。
ここで重要なのは、将来の金利を正確に予想することではありません。
「どこまで金利が上がったら自分の家計が苦しくなるのか」
を把握することです。
住宅ローンの金利を予想するより、自分の家計が耐えられる範囲を知る方が実際の対策につながります。
③住宅ローン返済に備えて家計に余裕を作る
金利上昇への対策というと、
「固定金利に変える」
「繰上返済する」
と考えがちです。
しかし、その前にできることがあります。
それが、
毎月の家計に余裕を作ること
です。
たとえば現在の住宅ローン返済額が月10万円なら、
「住宅ローンが月11万円になっても問題ない家計にしておく」
という考え方です。
毎月1万円の余裕を作るだけでも、年間では12万円になります。
金利上昇に備えて、
- 固定費を見直す
- 不要な保険を整理する
- 通信費を見直す
- サブスクを整理する
- 毎月一定額を貯蓄する
など、住宅ローン以外の支出を見直す方法もあります。
金利そのものをコントロールすることはできなくても、自分の家計はある程度コントロールできます。
④繰上返済を検討する
金利が上昇すると、繰上返済の効果を改めて検討したくなる人もいるでしょう。
繰上返済によって住宅ローンの元金を減らせば、その後に支払う利息を減らす効果が期待できます。
また、住宅ローン残高を減らすことで、将来さらに金利が上昇した場合の影響を小さくすることにもつながります。
ただし、
「金利が上がったから、貯金を全部使って繰上返済する」
という考え方はおすすめできません。
住宅購入後には、
- 教育費
- 車の購入
- 住宅修繕費
- 医療費
- 失業・収入減少
- その他の急な出費
などが発生する可能性があります。
繰上返済したお金は、基本的に簡単には手元へ戻せません。
そのため、
繰上返済できる金額ではなく、繰上返済した後にいくら現金が残るか
を考えることが大切です。
⑤変動金利から固定金利への変更を検討する
変動金利を利用している人なら、
「固定金利に変更した方がいいのでは?」
と考えることもあるでしょう。
固定金利には、一定期間または返済期間全体の金利を固定できるため、将来の返済額を把握しやすいというメリットがあります。
一方で、固定金利へ変更すれば必ず得になるわけではありません。
一般的に、固定金利は変動金利より金利が高く設定されることがあります。
つまり、
将来の金利上昇リスクを抑える代わりに、現在の金利負担が増える
可能性があります。
固定金利への変更を考える場合には、
現在の変動金利
と
変更後の固定金利
の差を確認しましょう。
そのうえで、
「返済額が多少増えても、将来の金利上昇リスクを抑えたい」
という人なら検討する価値があります。
逆に、
「家計に十分な余裕があり、ある程度の金利上昇にも対応できる」
のであれば、変動金利を継続する考え方もあります。
⑥住宅ローンの借り換えを比較する
金利上昇局面でも、住宅ローンの借り換えを検討する価値がなくなるわけではありません。
現在利用している金融機関と他の金融機関では、
- 適用金利
- 金利優遇
- 団信
- 事務手数料
- 繰上返済手数料
- その他のサービス
などが異なります。
そのため、現在の住宅ローンより条件の良い商品が見つかる可能性もあります。
ただし借り換えには、
- 事務手数料
- 登記費用
- 抵当権設定・抹消関係の費用
- その他の諸費用
などがかかります。
したがって、
「金利が低い銀行を見つけたから借り換える」
ではなく、
借り換え後に支払う総額まで含めて比較する
ことが大切です。
⑦手元資金を確保しておく
金利上昇局面で特に大切だと考えているのが、
手元資金を減らしすぎないこと
です。
金利が上がると、
「早く住宅ローンを減らしたい」
という気持ちになるかもしれません。
しかし、手元の預貯金を大きく減らしてしまうと、急な支出が発生したときに対応できなくなる可能性があります。
たとえば、
住宅ローン残高3,000万円
預貯金500万円
という家庭が、500万円すべてを繰上返済したとします。
住宅ローンは2,500万円まで減りますが、預貯金がほとんどなくなれば、教育費や住宅修繕費などが必要になったときに困る可能性があります。
住宅ローン残高を減らすことと、家計の安全性を高めることは必ずしも同じではありません。
一定の生活防衛資金を確保したうえで対策を考えましょう。
「5年ルールがあるから大丈夫」とは限らない
変動金利型住宅ローンでは、金融機関や商品によって「5年ルール」や「125%ルール」が採用されている場合があります。
5年ルールがある場合、金利が上昇しても毎月返済額がすぐに変更されないことがあります。
しかし、
返済額が変わらない=金利上昇の影響を受けていない
という意味ではありません。
金利が上昇すれば、毎月返済額のうち利息に充てられる割合が増え、元金の減り方が遅くなる可能性があります。
また、すべての住宅ローンに5年ルール・125%ルールがあるわけではありません。
自分が利用している住宅ローンの商品内容を確認しましょう。
金利上昇時にやらない方がいいこと
金利が上昇すると、不安になってすぐ行動したくなるかもしれません。
しかし、次のような行動には注意が必要です。
「金利が上がったからすぐ全額繰上返済する」
「なんとなく不安だから固定金利へ変更する」
「金利だけを見て他行へ借り換える」
住宅ローンは家庭によって、
- 残高
- 金利
- 残存期間
- 年収
- 預貯金
- 教育費
- 年齢
- 家族構成
などが異なります。
そのため、すべての人に共通する正解はありません。
まず数字を確認してから判断しましょう。
変動金利のままでいい人は?
金利上昇局面だからといって、すべての人が固定金利へ変更する必要があるわけではありません。
たとえば、
- 住宅ローン残高がそれほど大きくない
- 返済期間が短くなっている
- 家計に十分な余裕がある
- 預貯金を確保できている
- 金利上昇時の返済額を把握している
- 必要になれば繰上返済できる余力がある
といった人であれば、変動金利を継続する選択肢もあります。
一方で、
- 住宅ローン残高が大きい
- 返済期間が長く残っている
- 毎月の家計に余裕が少ない
- 金利上昇による返済額増加が不安
- 将来の返済額をできるだけ確定させたい
という人は、固定金利への変更などを含めて検討してもよいでしょう。
重要なのは、
「変動金利と固定金利のどちらが正解か」ではなく、「自分の家計にはどちらが合っているか」
です。
これから住宅ローンを借りる人ができること
金利上昇への対策は、すでに住宅ローンを借りている人だけの話ではありません。
これから住宅を購入する人にも重要です。
特に、
「銀行から借りられる最大金額まで借りる」
という考え方には注意しましょう。
住宅ローン審査で借りられる金額と、無理なく返せる金額は同じではありません。
今後さらに金利が上昇する可能性も考えて、
現在の金利なら返せる
ではなく、
金利が上がっても返せる
借入額を考えることが重要です。
住宅購入後には教育費、固定資産税、修繕費なども必要になります。
住宅ローンだけで家計を考えないようにしましょう。
元銀行住宅ローンセンター担当として伝えたいこと
金利が上昇していると、
「今すぐ何かしなければ」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、住宅ローンで大切なのは、金利のニュースを見てその都度行動することではありません。
まず、
①現在の住宅ローンを確認する
②金利上昇時の返済額を計算する
③家計がどこまで耐えられるか確認する
この3つから始めてみてください。
その結果、
「1%上がっても問題なく返済できる」
のであれば、慌てて住宅ローンを変更する必要性は低いかもしれません。
反対に、
「0.5%上がっただけでも家計がかなり厳しい」
のであれば、早めに対策を考えた方がいいでしょう。
そして対策は、
固定金利への変更だけではありません。
繰上返済、借り換え、家計改善、手元資金の確保など複数あります。
金利を予想することより、金利が上がっても困らない家計を作る。
これが、金利上昇局面で住宅ローンを返済していくうえで大切な考え方だと思います。
よくある質問
Q.住宅ローン金利が上がったらすぐ固定金利に変更した方がいいですか?
必ずしもそうとは限りません。
固定金利へ変更すると現在の適用金利が高くなる可能性もあります。
現在の金利、住宅ローン残高、残存期間、家計の余裕などを確認して判断しましょう。
Q.金利上昇時は繰上返済した方がいいですか?
金利上昇によって繰上返済の利息軽減効果を意識しやすくなりますが、手元資金を減らしすぎないことも重要です。
教育費や生活防衛資金などを確保したうえで判断しましょう。
Q.5年ルールがあれば金利が上がっても安心ですか?
必ずしもそうではありません。
返済額が一定期間変わらなくても、利息の割合が増えて元金の減りが遅くなる可能性があります。
また、5年ルールを採用していない住宅ローンもあります。
Q.金利が何%になったら固定金利へ変更するべきですか?
すべての人に共通する基準はありません。
住宅ローン残高、返済期間、家計状況、固定金利との差などによって判断は異なります。
Q.これから住宅ローンを借りるなら変動金利は避けるべきですか?
金利上昇局面だからという理由だけで、一律に変動金利を避ける必要があるとはいえません。
変動金利と固定金利それぞれの特徴を理解し、金利上昇時にも返済できる借入額を考えることが重要です。
まとめ|金利上昇時こそ「予想」より「準備」が大切
住宅ローン金利が上昇している今、まずやっておきたいのは、
- 現在の住宅ローン金利を確認する
- 金利上昇時の返済額をシミュレーションする
- 家計に余裕を作る
- 繰上返済を検討する
- 固定金利への変更を検討する
- 借り換えを比較する
- 手元資金を確保する
という7つです。
住宅ローン金利がこれからどこまで上昇するかを正確に予想することは困難です。
だからこそ、
「金利がどうなるか」ではなく、「金利が上がったら自分の家計がどうなるか」
を考えることが重要です。
金利上昇のニュースを見て慌てて行動するのではなく、自分の住宅ローンと家計を数字で確認し、自分に必要な対策を一つずつ進めていきましょう。


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