住宅を購入するときに必要なお金は、物件価格だけではありません。
たとえば3,000万円の住宅を購入する場合、
「3,000万円の住宅ローンを借りれば、手元のお金がなくても購入できる」
と思っている人もいるかもしれません。
しかし、実際の住宅購入では住宅ローン以外にもさまざまな費用が発生します。
住宅ローンの事務手数料、保証料、登記費用、火災保険料、不動産会社に支払う仲介手数料などです。
こうした費用は一般的に**「諸費用」**と呼ばれます。
私は銀行の住宅ローンセンターで住宅ローン業務に携わってきましたが、住宅購入を考える際には、物件価格や毎月の返済額だけでなく、「購入時にいくらお金が必要になるのか」まで確認しておくことが重要です。
この記事では、
- 住宅ローン・住宅購入の諸費用とは何か
- どのような費用が発生するのか
- 諸費用はいくらくらいになるのか
- 現金で用意する可能性がある費用
- 諸費用も住宅ローンで借りられるのか
- 新築と中古住宅の違い
- 諸費用を考えるときの注意点
について、初心者にも分かりやすく解説します。
- 住宅ローンの「諸費用」とは?
- ①住宅ローンの事務手数料
- ②住宅ローン保証料
- ③印紙税
- ④登記にかかる費用
- ⑤司法書士への報酬
- ⑥仲介手数料
- ⑦火災保険料
- ⑧地震保険料
- ⑨固定資産税・都市計画税などの精算金
- ⑩不動産取得税
- 1.物件価格だけで予算を決めない
- 2.住宅ローンは金利だけで比較しない
- 3.諸費用を住宅ローンに含められるか確認する
- 4.住宅購入後のお金を残しておく
- 5.契約前に資金計画書の内訳を確認する
- Q.住宅購入の諸費用はすべて現金で払う必要がありますか?
- Q.頭金と諸費用は同じですか?
- Q.諸費用まで住宅ローンで借りるのは危険ですか?
- Q.新築と中古ではどちらの諸費用が高いですか?
- Q.住宅購入後にもお金はかかりますか?
住宅ローンの「諸費用」とは?
住宅を購入するときには、土地や建物そのものの代金以外にもさまざまな費用が発生します。
これらをまとめて「諸費用」と呼ぶことがあります。
代表的なものには、
- 住宅ローンの事務手数料
- 住宅ローン保証料
- 印紙税
- 登記関係費用
- 司法書士報酬
- 火災保険料・地震保険料
- 仲介手数料
- 固定資産税・都市計画税などの精算金
- 不動産取得税
- 引っ越し費用
- 家具・家電購入費
などがあります。
ただし、すべての住宅購入で同じ費用が発生するわけではありません。
新築か中古か、戸建てかマンションか、住宅ローンを利用する金融機関、不動産会社との取引形態などによって変わります。
そのため、**「住宅購入には物件価格以外にもまとまったお金が必要になる」**と考えて、早めに確認しておくことが大切です。
住宅購入・住宅ローンでかかる主な諸費用一覧
まず、代表的な費用をまとめてみましょう。
| 費用 | 主な内容 |
|---|---|
| 住宅ローン事務手数料 | 金融機関に支払う手数料 |
| 住宅ローン保証料 | 保証会社を利用する場合に必要となることがある |
| 印紙税 | 課税文書を作成する場合に発生 |
| 登録免許税 | 所有権や抵当権などの登記にかかる税金 |
| 司法書士報酬 | 登記手続きなどを依頼する費用 |
| 仲介手数料 | 不動産会社の仲介で購入する場合に発生することがある |
| 火災保険料 | 建物などを火災等のリスクに備える保険 |
| 地震保険料 | 地震・噴火・津波による損害に備える保険 |
| 固定資産税等の精算金 | 売主と買主の間で精算することがある |
| 不動産取得税 | 不動産を取得した際に課税される場合がある |
| 引っ越し費用 | 新居への引っ越し |
| 家具・家電費用 | エアコン、照明、カーテン、家具など |
一つひとつ確認していきます。
①住宅ローンの事務手数料
住宅ローンを利用すると、金融機関に事務手数料を支払う場合があります。
事務手数料の設定方法は金融機関や住宅ローン商品によって異なります。
たとえば、
「借入額×一定割合」
というタイプもあれば、一定額を設定している商品もあります。
仮に借入額3,000万円、事務手数料が借入額の2.2%だった場合、
3,000万円×2.2%=66万円
となります。
住宅ローン選びでは金利に目が行きやすいのですが、事務手数料が数十万円になることもあるため、金利だけでなく借入時の費用まで含めて比較することが重要です。
金融機関・商品によって条件は異なるので、実際の金額は申込先で確認しましょう。
②住宅ローン保証料
住宅ローンによっては、保証会社を利用するための保証料が必要になります。
保証料には、借入時にまとめて支払うタイプや、金利に上乗せするタイプなどがあります。
また、保証料がかからない住宅ローンもあります。
ここで注意したいのは、
「保証料0円=必ず一番安い住宅ローン」ではない
ということです。
保証料がかからなくても事務手数料が高めに設定されているケースなどがあるため、
- 金利
- 保証料
- 事務手数料
- 団信
- その他の手数料
などを総合的に比較することが重要です。
保証料については、別記事で詳しく解説しています。
③印紙税
住宅購入や住宅ローンの手続きでは、契約内容や契約方法によって印紙税が発生する場合があります。
たとえば、紙で契約書を作成する場合には、その文書が印紙税の課税文書に該当することがあります。
一方、電子契約では紙の契約書とは扱いが異なる場合があります。
印紙税額や軽減措置は契約金額・文書の種類・時期などによって異なるため、契約時点の制度を確認しましょう。
④登記にかかる費用
住宅を購入すると、不動産の所有権などについて登記を行います。
住宅ローンを利用する場合には、金融機関が不動産に抵当権を設定するため、抵当権設定登記も行われるのが一般的です。
登記に関係する費用として、
- 登録免許税
- 司法書士報酬
などがあります。
登録免許税は登記の内容や不動産の評価額、適用される軽減措置などによって変わります。
そのため、一律に「○万円」と考えるのではなく、購入する物件ごとに見積もりを確認することが大切です。
⑤司法書士への報酬
不動産の登記手続きは司法書士へ依頼するケースが一般的です。
司法書士に支払う報酬は、登録免許税とは別の費用です。
「登記費用」とまとめて表示される場合もありますが、
税金として支払う登録免許税
と、
司法書士に支払う報酬
は別物です。
資金計画書や見積書を見るときは内訳まで確認しましょう。
⑥仲介手数料
中古住宅などを不動産会社の仲介によって購入する場合、仲介手数料が発生することがあります。
仲介手数料には法律上の上限があります。
たとえば売買価格が400万円を超える場合、上限額を計算する際によく使われる速算式として、
売買価格×3%+6万円+消費税
があります。
仮に3,000万円の物件なら、
3,000万円×3%+6万円=96万円
これに消費税を加えると、
105万6,000円
となります。
これはあくまで上限額を計算する例であり、実際の仲介手数料は取引内容などによって確認が必要です。
また、売主から直接購入するなど、取引形態によっては仲介手数料が発生しない場合もあります。
⑦火災保険料
住宅ローンを利用して住宅を購入する際には、火災保険についても確認する必要があります。
火災保険料は、
- 建物の構造
- 所在地
- 補償内容
- 保険金額
- 契約期間
などによって変わります。
そのため、一律の金額で考えることはできません。
住宅ローンの返済額だけでなく、こうした住宅購入後の維持費も資金計画に入れておきましょう。
⑧地震保険料
地震保険は、地震・噴火・これらによる津波を原因とする損害などに備える保険です。
火災保険だけでは、地震を原因とする火災などが通常の火災と同じように補償されるわけではありません。
地震保険は火災保険とセットで契約する仕組みになっています。
加入するかどうかは、住宅の所在地や家計、必要と考える保障などを踏まえて検討しましょう。
⑨固定資産税・都市計画税などの精算金
中古住宅などの売買では、固定資産税や都市計画税などについて、売主と買主の間で精算することがあります。
税金そのものの納税義務者と、不動産売買における当事者間の精算は別の話なので注意しましょう。
精算方法は売買契約などによって確認します。
⑩不動産取得税
土地や建物などの不動産を取得すると、不動産取得税が課税される場合があります。
ただし、住宅については一定の要件を満たすことで軽減措置を受けられる場合があります。
物件や取得条件によって税額が変わるため、購入前後に確認しておきましょう。
「住宅購入時の諸費用」はいくら用意すればいい?
ここが最も気になるところだと思います。
住宅購入時の諸費用は、
「物件価格の○%を用意すれば絶対に大丈夫」
とは言い切れません。
新築か中古か、仲介手数料が発生するか、住宅ローンの事務手数料・保証料がどのような設定かなどで大きく変わるからです。
一般的な資金計画では物件価格に対する一定割合を目安として示すこともありますが、実際に必要な金額は購入予定物件の資金計画書で確認することが最も重要です。
たとえば同じ4,000万円の住宅でも、
- 仲介手数料がある
- 事務手数料が借入額連動型
- 保証料を一括で支払う
- 火災保険の補償を厚くする
といった条件が重なれば、必要な諸費用は増えます。
「4,000万円の物件だから4,000万円だけ考えておけばいい」というわけではありません。
新築と中古住宅では諸費用が違う
住宅の種類によっても諸費用は変わります。
特に分かりやすい違いの一つが仲介手数料です。
中古住宅では、不動産会社の仲介で売買するケースが多く、その場合には仲介手数料が発生することがあります。
一方、新築住宅でも取引形態によって仲介手数料が発生する場合としない場合があります。
そのため、
「新築だから仲介手数料はない」
「中古だから必ず仲介手数料がかかる」
と決めつけず、個別の取引条件を確認しましょう。
諸費用は住宅ローンに含められる?
金融機関や住宅ローン商品によっては、住宅購入に伴う一部の諸費用を借入対象にできる場合があります。
対象となり得る費用は商品によって異なりますが、
- 事務手数料
- 保証料
- 登記関係費用
- 仲介手数料
- 火災保険料
などが対象となる商品もあります。
ただし、
「諸費用を全部住宅ローンで借りられる」
とは限りません。
また、諸費用まで借りれば、その分だけ住宅ローンの借入額は増えます。
たとえば、
物件価格4,000万円
+諸費用300万円
をすべて借りれば、借入額は4,300万円になります。
借入額が増えれば、毎月返済額や総支払利息にも影響します。
したがって、諸費用ローンを利用できるかだけでなく、借りた後に無理なく返済できるかまで考えることが重要です。
現金で用意しておいた方がいい費用は?
「住宅ローンで諸費用まで借りられるなら、現金は必要ないのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、住宅購入では住宅ローンの対象にならない費用や、融資実行前に支払いが必要になるお金が発生する場合があります。
また、住宅購入後には、
- 引っ越し
- 家具
- 家電
- カーテン
- 照明
- エアコン
- インターネット工事
- 修繕
- マンションなら管理費・修繕積立金など
さまざまな支出が発生します。
そのため、住宅購入時に預貯金をすべて使い切るのは避けたいところです。
「頭金+諸費用を払えるか」だけでなく、「住宅購入後にいくら現金を残せるか」まで考えることが大切です。
頭金と諸費用は別物
初心者が混同しやすいのが「頭金」と「諸費用」です。
たとえば4,000万円の住宅を購入して、
500万円を頭金として入れた場合、
住宅ローンの借入額は3,500万円になります。
しかし、これとは別に登記費用、住宅ローン手数料、保険料などの諸費用が必要になる可能性があります。
つまり、
頭金=物件価格の一部として先に支払うお金
諸費用=住宅購入・住宅ローン手続きなどに伴って発生する費用
と考えると分かりやすいでしょう。
「頭金500万円を用意したから、ほかに現金はいらない」とは限りません。
諸費用で失敗しないための5つのポイント
1.物件価格だけで予算を決めない
住宅購入では諸費用も含めた総額で考えます。
「4,000万円までなら買える」ではなく、
「住宅購入全体でいくら必要になるのか」
を見ることが重要です。
2.住宅ローンは金利だけで比較しない
金利が低くても、事務手数料などが高ければ、借入時の負担は大きくなる可能性があります。
住宅ローンを比較するときは諸費用まで確認しましょう。
3.諸費用を住宅ローンに含められるか確認する
現金を残したい場合には重要なポイントです。
ただし、借入額が増えることも忘れないようにしましょう。
4.住宅購入後のお金を残しておく
住宅を購入した直後は、意外と出費が重なります。
家具・家電・引っ越しなども考え、預貯金を使い切らない資金計画にしましょう。
5.契約前に資金計画書の内訳を確認する
「諸費用○○万円」と総額だけを見るのではなく、
何に・いくらかかっているのか
を確認しましょう。
分からない項目があれば、不動産会社や金融機関などに確認することが大切です。
元銀行住宅ローンセンター担当として伝えたいこと
住宅ローンを検討するとき、多くの人が最初に見るのは、
「いくら借りられるか」
「毎月いくら返済するか」
「金利は何%か」
という数字だと思います。
もちろん、どれも重要です。
しかし、実際に住宅を購入する段階では、物件価格以外にもさまざまなお金が必要になります。
特に注意したいのが、住宅を購入するために預貯金を使いすぎてしまうことです。
頭金を多く入れ、諸費用もすべて現金で払い、住宅ローン残高を少なくできたとしても、その結果として手元資金がほとんど残らなければ、購入後の生活に余裕がなくなる可能性があります。
住宅ローンでは、
「いくら借りるか」だけでなく「住宅購入後にいくら現金を残すか」
という視点も大切です。
物件価格、諸費用、頭金、住宅ローン、購入後の預貯金までセットで資金計画を考えましょう。
よくある質問
Q.住宅購入の諸費用はすべて現金で払う必要がありますか?
必ずしもそうではありません。
金融機関や住宅ローン商品によっては、一部の諸費用を借入対象にできる場合があります。
ただし、対象となる費用や条件は異なるため、利用する金融機関に確認してください。
Q.頭金と諸費用は同じですか?
違います。
頭金は住宅の購入代金の一部として支払うお金です。
諸費用は住宅ローン手数料、登記費用、仲介手数料、保険料など、住宅購入に伴って別途発生する費用です。
Q.諸費用まで住宅ローンで借りるのは危険ですか?
一概に危険とはいえません。
現金を手元に残せるメリットがある一方、借入額が増えるため返済負担も増えます。
「借りられるか」だけではなく「無理なく返済できるか」で判断することが重要です。
Q.新築と中古ではどちらの諸費用が高いですか?
一律には決められません。
中古住宅では仲介手数料が発生するケースが多い一方、新築でも取引形態によって仲介手数料が発生することがあります。
物件ごとの資金計画を確認しましょう。
Q.住宅購入後にもお金はかかりますか?
かかります。
引っ越し代、家具・家電、固定資産税、保険料、修繕費などがあります。
マンションなら管理費や修繕積立金なども継続的に必要です。
住宅ローン返済額だけで家計を考えないことが重要です。
まとめ|住宅ローンは「物件価格+諸費用」で考えよう
住宅購入では、物件価格以外にもさまざまな諸費用が発生します。
代表的なのは、
- 住宅ローン事務手数料
- 保証料
- 印紙税
- 登記関係費用
- 司法書士報酬
- 仲介手数料
- 火災保険料・地震保険料
- 税金関係の費用
などです。
さらに、住宅購入後には引っ越しや家具・家電などの支出もあります。
そのため、
「住宅ローンをいくら借りられるか」だけで住宅購入を判断しないことが大切です。
物件価格と諸費用を合計した必要資金を確認し、さらに住宅購入後にも十分な現金を残せる資金計画を立てましょう。
住宅ローンは長期間返済していくものです。
購入時点だけでなく、購入後の生活に余裕を残すことまで考えて住宅ローンを組むことが、後悔しない住宅購入につながります。


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